【妻の猛反論】中国製ダイヤなら40万で買えるぞ!と叫ぶ夫に、私が「遺骨ダイヤは絶対無理」と断言した理由

「おい!今すぐネットの注文ボタンから手を離せ!騙されるな!」土曜日のリビング、ノートパソコンを開いてメモリアルダイヤモンド(1カラット・143万円)の申し込み画面を見つめる私に、夫が血相を変えて飛び込んできました。手にはスマホ、画面には「中国産ラボグロウンダイヤモンド」の文字が。

中国製ダイヤ

中国製ダイヤ
中国製ダイヤ

「見ろよこれ! 中国なら1カラットのダイヤが2万元、日本円でたったの約40万円で買えるんだぞ!? 日本の小売価格の35%だ。カラーもクラリティ(透明度)も最高品質。わざわざ143万も出すなんて大損だ、中国で合成してもらおう!」

ドヤ顔で胸を張る夫。

はぁ、これだから技術の進歩という言葉に弱い男ってやつは。

私はパソコンをパタンと閉じ、深くため息をついて夫を真っ正面から見据えました。

「あなたね。中国がどれだけ逆立ちしたって、『メモリアルダイヤモンド』だけは絶対に作れないのよ。量産とメモリアルは、水と油なんだから!」

💎「中国製=偽物」は古い!世界を支配する河南省の3大巨頭

「え?なんでだよ。中国製だからって偽物扱いする気か? 差別は良くないぞ!」と、正義感ぶる夫。

「誰も偽物なんて言ってないわよ。むしろその逆。中国の合成ダイヤモンド(ラボグロウンダイヤモンド)は、結晶構造も化学成分も、天然ダイヤと100%まったく同じ『本物のダイヤモンド』。ガラスやジルコニアみたいなイミテーション(模造石)とはワケが違うの」

実は今、中国の合成ダイヤモンド生産量は、なんと世界の9割以上を占めています。その中心地が、黄河の南に位置する内陸の地、歴史深き「河南省(かなんしょう)」。ここには大小80社以上の製造会社が林立しているのです。

中でも業界の「3大巨頭」と呼ばれるのがこちら。

  • 河南黄河旋風(かなんこうかせんぷう)
  • 中南钻石(ちゅうなんづいし)
  • 鄭州華晶金剛石(ていしゅうかしょうこんごうせき)

📊圧倒的な物量作戦

この3社だけで、高圧合成装置(キュービック型マルチ・アンビル装置)を8,000台以上保有。年間生産量は120億カラットに達し、「地球全体の合成ダイヤ需要を1県で支えられる」とまで言われる世界ツアーの中心地なのです。

中国では国策として、企業に莫大な報奨金(補助金)を出して設備投資を進めてきました。作れば作るほど安くなる仕組みで、今や若い世代のエンゲージリング(婚約指輪)にも、手軽に買える合成ダイヤが当たり前に使われる時代。あの天然ダイヤの絶対王者「デビアス」すら、1カラット800ドル(約8万2千円)という超格安の合成ダイヤブランド「Lightbox(ライトボックス)」を立ち上げて参入せざるを得なかったほど、時代の波は来ています。

「ほら見ろ!世界のデビアスすら認めた技術なんだ! だったら河南省のハイテク工場に、じいちゃんの遺骨を送り届ければ安く作れるだろ!」

鼻の穴を膨らませる夫。私はその鼻先に、冷たい現実を突きつけました。

🏭中国の弱点:8,000台の巨獣はたった1人のために動かない

「あのね、河南省の工場がなんでそんなに安く作れるか分かる? 『同じ条件で、大量に、24時間ぶっ通しでドカンと一斉に作るから』よ。工業用や大量の宝飾用として、規格化された炭素を巨大な機械にブチ込んで量産するから1石40万円にできるの」

夫が「あ」と声を漏らします。

「メモリアルダイヤモンドは、亡くなった大切な人の『お骨や髪の毛』から抽出した、不純物まみれの、世界にそれしか存在しない炭素を使って、たった1石のために、機械を1台完全に占有して数ヶ月かけて育てるの。

もし中国の大工場に『じいちゃんの骨の炭素』を送り付けたらどうなると思う? 8,000台もある超巨大装置のラインに紛れ込んで、どこの誰だか分からない工業用ダイヤの炭素と混ざるか、最悪『不純物が多すぎてエラーが出るから一括廃棄』よ」

⚠️メレダイヤ混入事件の恐怖

実際、海外では「天然の小さな粒ダイヤ(メレダイヤモンド)の中に、中国産の合成ダイヤが大量に混ざって流通してしまった」という大混入事件が起きて、業界が大パニックになったこともあるのです。それくらい、彼らの現場は『大量・一括処理』の世界。

「じいちゃんが、ガラスを削る工業用カッターの刃になっちゃうのは嫌だろ?」と言うと、夫はガタガタと震えだしました。

そう、中国は「合成」は世界一できても、1対1の尊厳を守る「メモリアル」のシステムは構造上、不可能なのです。

📄将来売れる?「愛」と「価値」を証明書に委ねるな

「でもさ」と、なおも往年の投資マニア気取りで食い下がる夫。

「天然ダイヤなら100万円で買っても60万円で売れるかもしれないけど、合成ダイヤは50万で買っても二番手三番手だから、将来売るときに1万円の価値にもならないって聞くぞ。遺骨ダイヤだって、将来売ろうとしたら売れないんじゃないか?」

「当たり前でしょ!誰がじいちゃんの遺骨ダイヤを売りに出すのよ!」

思わずツッコミを入れてしまいました。

確かに、合成ダイヤにも遺骨ダイヤにも鑑定書(証明書)はつきます。そして遺骨ダイヤの証明書には、ハッキリと「〇〇さん由来の炭素から作られたダイヤモンド」と明記されます。そんなプライベートな宝物、質屋に持っていったって買い手がつくわけがありません。

でもね、そもそもダイヤモンドをお金(換金価値)だけで考えること自体、もう古いのです。

🌌もしも「遺骨ダイヤ」が高く売れる世界があるとしたら?

ここで私は、ちょっと不思議な未来の妄想を夫に語ってみました。もし、遺骨ダイヤが他人に「高く買われる世界」があるとしたら、それはどんな世界か。

  • 世界に一つだけのプレミア(個性)が、何より大切にされる世界
  • モノそのものより、そこに宿る「記憶」や「体験」を共有したい世界

例えば、こんなドラマみたいな瞬間です。

♟️碁会所の頑固オヤジの遺産

家族からは「家でゴロゴロして、どうしようもないオヤジだな」と思われていた父親が亡くなり、遺骨ダイヤにした。

数ヶ月後、生前おやじが毎日のように通っていた碁会所の席亭から「あのおっさんの賑やかな声がなくなって寂しい。そのダイヤ、碁会所の受付に飾っておきたいから、相場以上の対価を払うので譲ってくれないか」と頼まれる。家族は「おやじの何がそんなに良かったんだか」と呆れつつも、愛された証拠に胸を熱くして、鑑定書と一緒に手渡す――。

「これってさ、転売益とか投資の話じゃないじゃない。金額には換算できない『プライスレスな価値』が、たまたまお金という形を借りて現れただけでしょ?」

私の言葉に、夫は黙って深く頷きました。

まとめ|ダイヤモンドにも「個性」を選ぶ時代

「わかったよ。100万で買って60万で売れる天然ダイヤより、40万で誰の思い出も入ってない中国製ダイヤより、143万かけて『じいちゃんそのもの』を永遠の輝きにする方が、我が家にとっては100倍の価値があるってことだな」

ついに降伏した夫。

1990年代、アメリカやロシアの軍事技術の終焉とともにラボで始まった合成ダイヤモンドの歴史は、中国の圧倒的な資本力によって「安価な大量生産品」へとシフトしました。

だからこそ、これからの時代は「ものさえ良ければ、鑑定書の資産価値にはこだわらない」という買い方が主流になります。

安さを求めて中国製を選ぶのも賢い選択。だけど、私たちが求めているのは「ただの炭素の塊」ではなく、じいちゃんと過ごした「時間」なのです。

「よし、じゃあ143万円のコースで正式に申し込もう!」と、ようやく財布を開いた夫。

「あ、ちなみに私の分の1カラット(天然)も、将来の投資用に隣のページで一緒に注文しといていい?」と笑顔でトドメを刺すと、夫は再び電卓を握りしめてフリーズしてしまいました。我が家の予算会議は、まだまだ終わりそうにありません。

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