夫が「遺骨ダイヤをもっとまけろ」と暴走中!〜『CZダイヤ』の罠と、知られざる宝石界の身分制度〜
「なぁママ、この遺骨ダイヤモンドの会社にさ、俺が直接電話して『そこをなんとか、男気で3万円くらいにまけてくれませんか!』って交渉したら、いけると思う?」休日のリビング、ダンナがまたしても無茶苦茶なことを言い出した。
遺骨ダイヤをもっとまけろ
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| 知られざる宝石界の身分制度 |
「およしなさいって。あなたいくつよ。関西の商店街のおばちゃんじゃないんだから、ダイヤモンドの最先端ラボを相手に値切り交渉なんか通じるわけないでしょ!」
「だってさぁ、人工的に作ったダイヤだろ? 要するに、あのほら、ドン・キホーテとかでよく見る『ジルコニア』っていうガラスみたいなやつと同じじゃん! 原価なんてタダみたいなもんだろ、もっとまけてくれよ〜!」
はい、出ました。ダンナの「知ったかぶり大爆発」である。
あまりにも無知なダンナをそのままにしておくと、いつか詐欺に引っかかりそうなので、私はお茶をバシッと机に置き、本日3回目の緊急家族会議(という名の説教)を開くことにした。
「いい? あなた。その口を二度と『ジルコニアと同じ』なんて言わせないわよ。遺骨ダイヤに失礼だし、そもそも科学的にぜーーーんぜん違うの!」
【大前提】合成ダイヤは「100%本物のダイヤモンド」である!
「まず結論から言うわね。合成ダイヤモンドは、ジルコニアじゃなくて、本物のダイヤモンドです!」
合成ダイヤモンド: 人工的に作られてはいるけれど、硬度も、輝きも、科学的な組成(炭素)も、天然のダイヤモンドとまったく同じ。だから法律上も、業界ルールでも、「ダイヤモンド」という名称を名乗ることが許されているの。
ジルコニア: ダイヤモンドの『模造石(フェイク)』として使われているけれど、その正体はセラミック(陶器)の一種よ!
「えっ!?ジルコニアってセラミックなの!?」
驚いて顎が外れそうになっているダンナ。
「そうよ。最近じゃ、一番噛む力がかかる奥歯の被せ物(歯医者さんで大活躍!)とか、人工関節などの医療分野でも幅広く使われている、体に優しくて超頑丈なセラミック。それにちょっと追加加工をして、ダイヤっぽく見せたのが『キュービックジルコニア(CZ)』っていう模造石なのよ」
つまり、お値段ベースで言ったら、キュービックジルコニアは本物のダイヤモンドの数十分の1以下の価値しかないの。これを「同じ人工だからまけろ」と言うのは、フェラーリのディーラーに行って「軽自動車と同じ車なんだから30万にしろ!」って言っているようなものよ。
1994年に決まった、宝石界の「3大身分制度」
「でもさ、テレビじゃ『人工ダイヤモンド』とか『人造ダイヤ』とか、いろんな言い方してるじゃん。何が違うんだよ」
「そこよね。実は1994年に、日本ジュエリー協会(JJA)と宝石鑑別団体協議会(AGL、通称:宝鑑協)が、消費者が混乱しないように、人工的な石を3つに明確に分類(命名法)しているのよ。これが宝石界の身分制度ね!」
💡人工生産物の3大分類
- 合成石(ごうせいせき): 天然に同じ石が存在する、人工の石。成分が同じ。
👉 だから「人工ダイヤモンド」ではなく、「合成ダイヤモンド」と呼ぶのが正しいの! - 人造石(じんぞうせき): 天然には存在しない、人間がゼロから作った結晶。
👉例:キュービックジルコニア(人造キュービックジルコニア) - 模造石(もぞうせき): ガラスやプラスチックなど、見た目だけを真似たイミテーション。
「なるほど! 天然の相棒がいるかいないかで、名前が変わるのか。じゃあ、天然ダイヤと合成ダイヤって、見た目じゃ全然わからないの?」
「プロでも最新の鑑別(科学的検査)マシンを使わないと見分けがつかないくらい、極めて精巧よ。ただ、天然は地球が数百万年かけて作るけど、合成(遺骨ダイヤ)は数か月でギュッと作るでしょ? だから、結晶の中にほんのわずかな不純物が取り残されることがあって、それが遺骨ダイヤ特有の美しい発色(オレンジやブルー)の原因になるのよね」
「へぇー、数か月のドラマが色になるなんて、それはそれでロマンがあるなぁ。でも、やっぱり安くはならないんだな(涙)」
ダンナがまだ財布を握りしめてブツブツ言っている。
国民生活センターが激怒!?CZダイヤモンドの罠に気をつけろ!
「でもママ! ネットで『CZダイヤモンド』って検索したら、めっちゃ大粒の指輪が3,000円くらいで売ってるぞ! これを遺骨ダイヤの代わりに」
スマホの画面を嬉しそうに見せてくるダンナの額を、私はデコピンした。
「あんた、それ! まさに今、国民生活センターが公式に注意喚起しているド直球の罠よ!!」
「えぇっ!?国民生活センター!?」
「そうよ! 最近の悪質なネットショップで、キュービックジルコニアのことを、さも本物のダイヤであるかのように『CZダイヤモンド』とか『czダイヤ』って表記して売る店が急増しているの。でも、さっき言った通り、中身はただのセラミック(人造石)。本物のダイヤモンドの名前を勝手に使うのは不適切だって、お上に怒られているのよ!」
⚠️ネット通販に潜む格安フェイクのチェックリスト
「CZダイヤモンド」「モアサナイトダイヤモンド」という謎の造語(本物のダイヤではありません。ただの模造品です)
「プラチナ仕上げ」という魔法の言葉(中身はただの真ちゅうや鉛合金に、薄いメッキを施しただけ。金属アレルギーの人は肌が荒れて大変なことになるわよ!)
異様なほど廉価(安い)(本物なら100万円するサイズが数千円で出ていたら、ページの最後を隅々まで読みなさい。大抵、小さな文字で『素材:キュービックジルコニア』って書いてあるから!)
「ひぇ〜! 危うく3,000円で『大粒プラチナダイヤ(偽)』を買って、ママにプレゼントして大目玉を食らうところだった!」
冷や汗を流すダンナ。
「まぁ、普段使いのアクセサリーとして『これはキュービックジルコニア(おもちゃ)だな』と納得して使い分ける分には何の問題もないわよ。でも、一生に一度の贈り物や、大切な人の遺骨で作るメモリアルなものなら、やっぱり信頼できる窓口で、本物の『合成ダイヤモンド』を作ってもらうべきでしょ!」
結び:我が家の値切り交渉の結末
「本物のダイヤモンドの輝きと、おもちゃの輝き。やっぱり値段にはそれだけの理由があるんだな。よし、俺、腹を決めたよ。直談判で『まけてくれ』って電話するのはやめる!」
「あら、やっと大人の階段を登ったわね」
「うん! その代わり、窓口の担当者さんに『うちの妻が毎日家事で大変なんです!』っていう涙の作文を添えて申し込んだら、感動して『人情割引』とかしてくれないかな!?」
「だから、ダイヤモンドのラボに人情は通用しませんっ!!」
我が家のダイヤモンド計画、夫の「一円でも安くしたい執念」と「宝石界の厳しい現実」の狭間で、今日も激しいバトルが繰り広げられています。
みなさんも、ネット通販で「安すぎるダイヤ」を見かけた際は、どうぞ前後の怪しい英語(CZなど)が付いていないか、くれぐれもご注意なさってくださいね!

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