家族でよく話し合ってください、とカウンセラーにも言われたけど。我が家の墓じまい大戦争
「というわけでね。終活カウンセラーの人にも(とにかく、ご家族でよーく話し合ってくださいね)って耳にタコができるくらい言われたのよ」リビングのローテーブルを囲み、母が厳かに切り出した。我が家のお題は「墓じまい」。
墓じまい
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| 墓じまい |
「話し合い? そんなの簡単だろ。要するに、あそこにある山奥のお墓をたたんで、遺骨をどうにかすればいいんだろ? チャチャッと決めちゃおうぜ」
お茶をすすりながら、気楽に答える父。
「あなたねぇ。世の中には(墓じまいで失敗した!)って頭を抱えてる人がどれだけいるか知ってるの? 失敗したら、お骨は元に戻せないのよ!?」
母の目がキラーンと光る。
「えーっ!元に戻せないの!?」
スマホを見ていた娘が、急に会話に入ってきた。
そう、墓じまいは今や珍しくない時代。だからこそ、「これで安心!」と思いきや、落とし穴がそこら中に掘られているのだ。カウンセラーさんが「話し合え」と連呼したのには、深〜い理由があった。
一体、みんな何にそんなに後悔しているのか? 母がノートにまとめた「失敗のリアル」がこれである。
ぶっちゃけ、みんな何に後悔してるの?墓じまいの5大失敗
1.親族との調整が、まーーー大変だった!
「良かれと思って進めたら、遠方の親戚から(聞いてない! 伝統を何だと思ってるんだ!)って大激怒されてさ」というのはよくある話。
費用、場所、今後の供養方法、そして話し合いのセッティング。全員の希望を聞くのはぶっちゃけ不可能です。でも、「私はこうしたい」という意思を伝えて、理解してもらう努力だけは絶対にサボっちゃダメ。
2.意外とお金がかかった(冷や汗)
「お墓をなくすだけだし、タダ同然でしょ?」と思ったら大間違い。
- 離檀料(りだんりょう):お寺の檀家をやめるときのお礼
- 閉眼供養・開眼供養:お墓の魂抜き・魂入れの法事代
- 墓地の撤去費用
- 新しいお墓の費用や行政手続き(改葬手続き)
「いくらかかるかは、石材店に見積もりを取るのが鉄則よ。しかも複数の会社ね!」と母。
ちなみに、お墓によっては「指定の石材店」が決まっていることもあるので要確認。
石材店さんは、真夏の猛暑の中でも草むしりや墓地の修繕をしてくれる「陰の立役者」。しきたりにもめちゃくちゃ詳しいので、見積もりを取りながら味方になってもらうのがベストです。
3.「合祀(ごうし)」してしまって大後悔
「とりあえず一番安いから」と、他の方のお骨と一緒に埋葬する「合祀」を選んだものの、後から「やっぱり個別にお参りしたかった」と泣くパターン。合祀されたお骨は、二度と取り出すことができません。
4.お寺ともめて泥沼化
お墓から遺骨を取り出すときの「閉眼供養」やお布施、そして離檀料。お寺側からすれば「大切な檀家さんが減ってしまう(=収入減少)」というシビアな事情もあります。だからこそ、これまでの感謝をしっかり伝え、経緯を話して理解を得ることがトラブル回避の鍵。
5.もう一度お墓を建てたくなった
墓じまいをすると、家族だけで静かにお参りできる「決まった場所」がなくなります。急に寂しくなって「やっぱり自分たちの先祖だけのお墓が欲しい」と思っても、合祀した後ではもう遅い。管理しやすい場所に、いったん新しく小さなお墓を建てるというのも、実は一つの賢い選択肢なのです。
失敗しないための根回しと、決め方
「要するに、自分たちの都合だけで突っ走るな、ってことだな」
父が神妙な顔でうなずく。
その通り。墓じまいで失敗しないコツは、とにかく周りの理解。
- ご年配の親族(お墓への思い入れが若い世代とは違います)
- お寺や石材店さん
- 身近な家族
「でもさ、親戚一同にわざわざ(墓じまいの会議を開きます!)なんて連絡したら、それだけで身構えられない?」と娘。
さすが、鋭い。だからこそ、元気なうちからの「カジュアルな根回し」が大事なのだ。
- 親戚の家に行ったとき:「実はさ、お墓のことこんな風に考えてるんだけど」と軽く雑談に混ぜる。
- 遠くの親戚には: 週末や夏休みに「久しぶり!元気?」と電話したり、会いに行ったりして距離を縮めておく。
- 冠婚葬祭の集まりで: 結婚式や法事の席で、少しだけお墓の話題を出して反応を見ておく。
ちなみに、もし「お墓を次の代に引き継いでくれる人(承継者)」がすでにいるなら、無理に墓じまいをする必要はありません。名義変更届と手数料を支払えば手続きは完了します(※キリスト教の墓地などの場合は、最初から合祀タイプが多いので墓じまい自体が不要なケースもあります)。
墓じまいのその後、我が家が出した斜め上の結論
「で、お母さん。お墓を片付けた後、お骨はどうするの?近くの墓地?納骨堂? 樹木葬?それとも海に散骨?」
娘の質問に、母は待ってましたとばかりに胸を張った。
「私はね、(遺骨ダイヤモンド)にしたいと思ってるの」
「えっ、ダイヤ!?」父と娘の声がハモる。
遺骨ダイヤとは、故人の遺骨から成分を抽出して作る本物のダイヤモンド。
母がこれをおすすめする理由は、実はとっても現実的かつロマンチックだった。
- お墓を新しく準備するより、トータルで安く済む
- いつも身に着けていられるから、お墓よりも故人を身近に感じられる
- 普段使いもフォーマルな席でも大活躍
「想像してみてよ。もしお父さんが先に逝ってダイヤになったらさ。私が仕事中にきらめくダイヤのリングをしてるじゃない? 周りの人から(素敵なダイヤですね)って言われたら」
「(これ、私の夫なの。ほら、ここできらめいてるでしょ?)って会話になるわけね!」
娘が目を輝かせる。
「そう!最高に素敵じゃない?」
「いや、待て」
父が震える声で割り込んだ。
「なんだか、俺が早くダイヤ(素材)になることを期待されてる気がするんだが? しかも、もしそのダイヤ、無くしちゃったらどうするんだよ!」
「あ、それ」母が人差し指を立てる。
「遺骨ダイヤの唯一にして最大のデメリットが(紛失のリスク)よ。それさえ気をつければ、本当に素晴らしい供養方法なんだから」
「うん、分かった。俺は無くされないように、今からもっと存在感をアピールしておくよ」
父の切ない決意に、リビングが笑いに包まれた。
最後に:カウンセラーさんの言葉の真意
終活ガイドとして多くの相談を受けていると、「墓じまいで後悔した」という声を本当に耳にします。
後悔しないために必要なのは、テクニックではありません。親族や、これまでお世話になったお寺に対して、「自分たちの考えを理解してもらうために、気長に努力すること」。これに尽きます。
「家族でよく話し合ってください」
その言葉は、ただの事務手続きの相談ではなく、「これから家族がどう生きて、どう繋がり続けるか」をワイワイ話し合う、素敵なきっかけのことだったのかもしれません。
我が家の話し合いは、もうしばらく続きそうです。
(まずは、お父さんがダイヤになる前に、みんなで美味しいご飯を食べる話し合いから!)

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